setlog(セットログ)とは?

setlog(セットログ)とは、約2秒の短い動画を友達同士で共有し、1日の記録を動画日記(Vlog)として自動でまとめる韓国発のSNSアプリです。中高生や大学生の間で急速に広がっており、新入社員やアルバイトとして職場に入ってくる世代の多くが使っています。

2026年10月には、医療機関の職員がsetlogで撮影したとみられる動画がX上で拡散し、患者の個人情報が漏えいする事案も起きました。本記事では、setlogの仕組みと企業にとってのリスク、BeRealとの違い、流出時の対応、平時の対策を解説します。

2秒の動画で1日を記録するアプリ

setlogは、韓国のNew Chat Inc.が開発したアプリです(2025年12月に韓国でリリース)。スマートフォンで約2秒の短い動画を撮って投稿すると、1日の終わりにそれらが自動でつながり、1本の動画日記(Vlog)になります。

 

App StoreにおけるSNSアプリ「setlog」のダウンロード画面

 

投稿を共有できるのは、招待コードで参加した友達のグループだけです。InstagramやTikTokのように知らない人に投稿が広がる仕組みはなく、親しい仲間だけで日常を見せ合う「クローズドSNS」に分類されます。友達とつながらず、自分だけの日記として使う人もいます。

撮影は義務ではありません。撮らなかった時間はその日のVlogから抜けるだけで、1日まったく撮らなくても友達のVlogは見られます。完成したVlogはスマートフォンに保存でき、InstagramやTikTokにそのまま投稿することもできます。

写真の個別送信や大人数での共有も可能

動画のVlog作り以外にも、次のような使い方ができます。

  • 特定の友達と1対1で写真を送り合う:DMに近い機能で、受け取った写真は一度見ると消える(2026年6月に追加)
  • 大人数で写真や動画を共有する:クラスや部活、旅行の仲間など、最大40人で使えるグループ(2026年8月に追加)

 

見ると消える写真でも、スクリーンショットを撮れば手元に残ります。また、大人数のグループでは、それだけ多くの人が投稿を見て、保存できる状態になります。

仕様は短期間で変わり続ける

setlogは、数日〜1週間おきにアップデートが配信されています。これまでにも、「1時間に1回まで」とされていた撮影の制限がなくなり(2026年7月、iOS版)、グループの上限人数も増えるなど、利用の仕方を左右する変更が続いてきました。iPhone版とAndroid版で使える機能が異なる時期もあります。

そのため、社員研修やルールで「1時間に1回しか撮れないアプリ」のように特定の仕様を前提にすると、すぐに実態と合わなくなります。研修資料には、アプリの仕様よりも「仲間内で共有した動画が外に出る仕組み」を載せておくと、仕様が変わっても内容が古くなりません。

学生の7割以上が使うアプリ

学生向けアプリ「学割」を運営する株式会社パレンテが、全国の中学生・高校生・大学生など479人に行った調査(2026年7月)では、setlogを「知っている」学生が91.4%、「使っている」学生が73.7%にのぼりました。毎日使っている学生だけでも49.7%と、約半数です。

利用者の6割以上(62.1%)が1日に何回もアプリを開いており、始めたきっかけは「友達に誘われた」が70.9%で最多でした。つながっている相手は「学校の親しい友達」が75.9%を占めます。

※回答者479人のうち414人が女性です。

 

友達に誘われて始め、親しい仲間と毎日何度も使う。こうした使い方は、就職やアルバイトを始めても簡単には変わりません。人事や店舗の管理者にとっては、「新入社員やアルバイトの多くが日常的に使っているアプリ」として把握しておく必要があります。

 

参考:PR TIMES(株式会社パレンテ)「Setlog」の利用実態に関する学生アンケート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000033964.html

参考:App Store「setlog」
https://apps.apple.com/jp/app/setlog/id6587576438

BeRealとsetlogの違い

setlogは「BeRealの次に流行るSNS」と呼ばれることもあり、日常をありのまま友達と共有する点は共通しています。違うのは、撮影の仕方と投稿の残り方です。

機能面の違い

BeRealとsetlogの機能比較
BeReal setlog
投稿形式 写真・動画(前後カメラで同時撮影) 約2秒の動画(片側カメラ)
撮影タイミング 1日1回の通知から2分以内 好きなときに撮れる
共有する相手 友達(公開設定も可) 招待したメンバー(最大20人)
投稿の残り方 24時間で消える Vlogとして残る

 

BeRealは、1日1回ランダムな時間に届く通知をきっかけに、2分以内に前後のカメラで写真または動画を撮って投稿します。遅れても投稿はできますが、遅れたことが友達に表示され、自分が投稿するまで友達の投稿は見られません。setlogは、片側のカメラで撮る短い動画が中心で、撮るかどうか、いつ撮るかを自分で決められます。

 

リスクの面では、写真と動画の違いが大きく影響します。写真は一瞬を切り取るだけですが、動画は背景の書類や画面、周りの人が次々と映ります。音声も入るため、職場の会話や院内・店内の放送まで記録される危険性があります。

リスク面の違い

BeRealとsetlogのリスク比較
BeReal setlog
撮影のタイミング 通知から2分以内(遅れても投稿可。遅れた表示が出る) 好きなときに撮れる。撮らなくてもよい
友達の投稿の閲覧条件 自分が投稿したあとに見られる 見られる(グループ共有のVlog)
クローズドSNSの油断 大きい 大きい(BeRealと同程度)
投稿の残り方 24時間で消える 消えずに残る(共有しているグループでは、過去のVlogも見られる)
スクショの通知 なし(回数は表示され、シェアすると撮った人が分かる)※ なし(記録も残らない)
画面録画の検知 なし なし
情報漏洩リスク 高い 高い
不適切投稿リスク 高い 高い

※2026年7〜8月時点の情報です。アプリのバージョンによって挙動が異なる場合があります。

情報漏洩と不適切投稿のリスクは、どちらのアプリも高いと考えられます。違いは、リスクが生まれるきっかけです。

BeRealは、自身が投稿しなければ友達の投稿が見られないため、職場でもとっさにカメラを向ける「うっかり投稿」が起きやすい仕組みです。一方のsetlogは、撮影を急かされない代わりに、撮るかどうかの判断が本人に任されています。そのうえ投稿が消えずに残り、Vlogとして書き出せるため、撮った動画が外部に持ち出されやすくなっています。

 

「グループ内・友達内だから大丈夫」という油断は、BeRealやInstagramストーリーズの「親しい友達」限定の危険性と同じくらい大きいと見ています。限定的なコミュニティグループだとしても、メンバーの誰かが保存すれば、仲間内の投稿も外に出てしまいます。

 

参考:BeRealヘルプ「BeRealになる時」
https://help.bereal.com/hc/ja/articles/7350386715165–BeReal%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E6%99%82

setlogが企業にとって危険な理由

setlogそのものに不正な仕組みがあるわけではありません。リスクは、アプリの仕組みと使う人の油断が重なったときに生まれます。

1日を残す意識が職場の撮影を招く

撮影も投稿も任意のため、setlogはBeRealほど危なくないと思われがちです。しかし、setlogの利用者は「今日1日を記録に残そう」という感覚でVlog動画を撮っています。

1日を記録する以上、起きている時間の大半を占める仕事中の様子も、撮影の対象になります。出勤途中、休憩中、作業の合間など、撮影のきっかけは1日中あり、職場の場面だけを外して撮るという意識は働きにくくなります。setlogは本人が撮りたいときに撮るアプリのため、職場で撮るかどうかは、すべて本人の判断に任されてしまいます。

クローズドな安心感が生む油断

setlogのグループには、招待された人しか参加できません。仲間内だけで見せ合う仕組みのため、その安心感から職場の様子などを気軽に撮ってしまいがちです。

しかし、グループのメンバーがスクリーンショットや画面録画で動画を保存しても、投稿者には通知されません。投稿者は、誰が動画を手元に残しているかを把握できないのです。

保存された動画がXやInstagramなどに転載されれば、仲間内の動画であっても、一気に不特定多数へ広がります。転載は投稿の直後とは限らず、昔の動画を持ち出されることもあります。社員が投稿した時点で、その動画は社外に出る可能性があると考えておく必要があります。

情報漏洩と不適切投稿のリスク構造

setlogを起点とするSNS炎上のリスクは、「情報漏洩」と「不適切投稿」の2つです。どちらも悪意から起きるとは限らず、仲間と日常を共有する楽しさの延長で起きます。1本の動画で、2つのリスクを含むこともあります。

 

setlogで撮影した動画が、仲間内の共有からスクショ・画面録画、他SNSへの転載を経て、情報漏洩や不適切投稿として炎上するまでの流れ

背景の映り込みによる情報漏洩

情報漏洩は、撮った本人にそのつもりがなくても、背景に業務上の情報が映り込むことで起きます。オフィスならPC画面や書類、ホワイトボード。店舗なら伝票やシフト表、来店客。医療機関や介護施設なら、患者や利用者そのものが映ります。

「2秒だから細かいところまでは見えない」と考えるのは誤りです。動画は一時停止すれば1コマずつ確認でき、背景の文字も読み取れます。

仕事中の様子も「今日の記録」として撮られるため、映り込みによる情報漏洩は最も注意が必要なリスクでしょう。

 

Vlogのエンタメ性による不適切行動

setlogの楽しさは、仲間と1日を1本の動画にまとめることにあります。友達のVlogが面白いほど、自分のVlogも盛り上げたくなります。

変化の少ない勤務中に「ネタ」を探すと、職場の備品でふざける、業務中の様子をおもしろおかしく撮るといった行為に向かいがちです。仲間内のウケを狙った動画でも、外に出れば企業の不祥事として扱われます。いわゆるバイトテロと同じ構図です。

1回の撮影は約2秒のため、派手な行為そのものは撮りにくいアプリです。ただし、撮影回数の制限がないため、短い動画を続けて撮れば一連の行為を記録できます。「2秒しか撮れないから大きな問題にはならない」とは言えません。

キャプションによる揶揄・中傷

setlogでは、動画にキャプション(文字)を付けられます。映像は何気ない職場の風景でも、客や患者、同僚をからかう一言が添えられれば、それだけで不適切投稿になります。

本人は仲間内の冗談のつもりでも、外に出た途端、その一言は企業の顧客への姿勢として受け取られます。後述する医療機関の炎上事例でも、患者が映り込んだ動画に、患者の身体的特徴を揶揄する文字が添えられていました。

setlog・BeRealの炎上事例

仲間内で日常を共有するSNSでは、2026年に入って職場からの情報流出が相次いでいます。setlogの炎上事例と、BeRealで起きた主な炎上事例を紹介します。

setlog 炎上事例①:医療機関|患者が映り込んだ動画

2026年10月、首都圏の大規模総合病院で、看護師が勤務中に撮影した動画がSNS上で拡散しました。動画はsetlogで作成されたとみられ、ベッドに横たわる入院患者や院内の様子が無断で撮影されていたほか、勤務への不満や、患者の身体的特徴を揶揄する文字が添えられていました。

病院の公表によると、動画は夜勤中に看護師2人が撮影し、撮影に関わっていない1人を含む3人のグループで共有していました。3人は自分たちの間だけで共有していたという趣旨の説明をしていましたが、動画はXに流出し、グループ病院の職員からの連絡で発覚しました。

病院は患者の個人情報の漏えいを認めて患者家族に謝罪し、個人情報保護委員会への報告、Xに拡散した投稿の削除依頼、全職員への注意喚起を行いました。関わった3人は出勤停止となり、その後、2人が懲戒解雇されたと報じられています。

 

参考:日本経済新聞(2026年10月10日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD102RC0Q6A011C2000000/

BeReal 炎上事例①:金融機関|顧客情報の映り込み

2026年4月、地方銀行の行員がBeRealに投稿した支店内の様子がX上で拡散しました。投稿には業務用のホワイトボードが映り込み、顧客の氏名や法人名、業績目標などが読み取れる状態でした。

ホワイトボードの記載内容から、撮影は約1年半前だった可能性が指摘されています。誰かが保存していた昔の投稿が、時間をおいて転載されたとみられます。

 

参考:産経新聞(2026年5月)
https://www.sankei.com/article/20260520-YBCHYEDA6FMFHC3JXTDMJJVIPM/

BeReal 炎上事例②:製造業|見積書の映り込み

2026年4月には、創業80年の建設機械部品メーカーでも、社員がBeRealに投稿した画像がX上で拡散しました。社内メールが表示されたモニターや見積書とみられる書類が映り込み、取引先の社名まで読み取れる状態でした。

同社は、取引先に非はないと明言したうえで謝罪し、投稿の削除や事実関係の調査、全社員へのSNS研修などの対応を発表しました。一方、社名が映り込んだ取引先には問い合わせの電話やメールが相次ぎ、ウェブサイトの問い合わせ受付を一時停止しています。社員1人の投稿が、取引先の業務にまで影響した事例です。

 

参考:ITmedia NEWS(2026年4月)
https://www.itmedia.co.jp/news/article/2604/30/1260430135/

流出が企業に与える影響

社員が私的に投稿したものでも、職場の情報や業務中の行為が映っていれば、批判は企業に向かいます。

懲戒処分と労務対応

流出が起きると、当事者への聞き取りと事実確認を行い、就業規則に照らして処分を検討します。処分の重さは、投稿の内容、故意かどうか、社内ルールを周知していたかなどを踏まえて判断します。

撮影や投稿を禁止するルールがなかった、またはルールを周知していなかった場合は、社員だけでなく企業の管理体制も問われます。処分が重すぎると、今度は企業の対応が批判されることもあるため、労務の専門家や弁護士にも相談しながら進めます。

信用低下と採用への影響

「顧客の情報を守れない会社」という評価は、取引先や顧客の信頼を大きく損ないます。医療・金融・教育のように、情報管理への信頼が前提となる業種では特に深刻です。

炎上した投稿やまとめ記事はネット上に長く残り、社名で検索した就職希望者の目にも触れます。一度の流出が、数年先の採用活動にまで影響することがあります。

流出・炎上時に企業がとる対応

社員の投稿が流出したときは、初動の早さと正確さが被害の大きさを左右します。

発覚当日に確認すべきこと

まず、次の4点を確認します。

  • ・何が映っているか:顧客や患者の情報、社内資料、個人を特定できる情報の有無
  • ・どこまで広がっているか:転載されたSNS、投稿数や閲覧数、まとめサイトへの掲載
  • ・誰が関わっているか:撮影した社員、共有していたグループのメンバー
  • ・いつ撮影されたか:撮影の時期と場所、ほかに同様の投稿がないか

 

個人情報が含まれる場合は、本人や家族への連絡、所管官庁などへの報告が必要になることもあります。確認した事実は時系列で記録しておきます。

拡散投稿の削除依頼

当事者には、setlog内の投稿と、端末に保存した動画の削除を指示します。Xなどに転載された投稿は、各SNSの報告フォームから削除を申請します。個人情報やプライバシーを侵害する投稿は、削除が認められやすい傾向があります。

ただし、拡散した投稿はコピーや再投稿で何度も現れます。削除依頼と並行して、新たな転載がないかを確認し続ける必要があります。

謝罪文・続報の公表

公表する場合は、確認できた事実、影響を受けた方への対応、今後の対策を簡潔に伝えます。医療機関の事例では、発覚当日に第1報としてお詫びを出し、翌日の第2報で撮影の経緯や処分、再発防止策を説明しました。

すべての事実が確定するまで待つと、「隠している」と受け取られかねません。第1報では分かっている範囲を伝え、調査結果は続報で補います。

初動の判断や公表文の作成に迷う場合は、専門家に相談することで判断の誤りを防げます。クラッドのソーシャルリスク対応コンサルティングでは、事実確認の進め方から公表文の作成、再発防止策まで、状況に応じて支援しています。

setlogのリスクを検知するには

社員の動画が流出したとき、被害の大きさは、企業がどれだけ早く気づけるかで変わります。ここでは、setlogならではの検知の難しさと、他SNSへの転載をいち早く把握する方法を紹介します。

setlog内は外部から見えない

setlogは招待制のため、企業が社員の投稿を外から確認することはできません。対策として現実的なのは、動画がXやInstagram、TikTokなどの公開SNSに転載された段階で、すぐに気づける体制をつくることです。医療機関の炎上事例でも、病院が事案を把握したのは、Xに転載された後の外部からの連絡でした。

AIツールで転載を早期に把握

公開SNSへの転載を見つけるには、SNS監視ツールが役立ちます。クラッド提供するSNS監視ツール 「AI-mining」は、SNS上の投稿データをリアルタイムで収集し、AIを活用して自社に関わるリスク投稿を把握できるツールです。社名や店舗名、サービス名などのキーワードで投稿を拾い、リスクコンサルタントのサポートを受けながら運用できます。

有人監視で文脈まで判断する

転載された動画には、社名が書かれていないことも少なくありません。制服や店舗の内装、映り込んだ看板から職場が特定され、炎上が広がることもあります。

こうした投稿を見逃さないには、SNSリスクに精通したオペレーターによる画像や動画の危険性を判断する監視体制が有効です。クラッドの提供する有人監視代行サービスでは、AIツールと人を組み合わせ、24時間SNSを監視します。キーワードだけでは拾えない投稿も、人が内容を見てリスクを判断します。

 

社員へのSNSリテラシー教育

検知は、流出した後の備えです。流出そのものを防ぐには、社員一人ひとりがSNSの仕組みとリスクを理解していることが欠かせません。研修で伝えるべき内容と、実施するタイミングを整理します。

私用SNSの危険性を理解させる

研修では、SNSごとの特徴と注意すべきリスクを伝えたうえで、炎上に至るまでの流れや身近に潜む危険を、実際の炎上事例を交えて解説します。自分にも起こりうることだと受講者に実感してもらうことが重要です。

setlogは撮影も投稿も強制されないため、「BeRealより安全なアプリ」と受け止める社員も少なくありません。setlogを危険なアプリとして扱う必要はありませんが、仲間内の油断が職場のどんな場面で問題になるのかは、具体例と合わせて伝えておきましょう。setlogについて押さえておきたいポイントは、次の3つです。

  • ・限定公開でも、メンバーが保存すれば外に出る
  • ・投稿は何年後でも表に出てくる可能性がある
  • ・誰が保存したかを、投稿者は確実には把握できない

 

あわせて、投稿する前に「背景に何が映っているか」「添えた文字が第三者にどう見えるか」を確認する習慣を身につけてもらいます。

入社・配属時に繰り返し伝える

SNSリテラシー教育は一度で終わらせず、入社時や配属時、新しいSNSが流行したときなど、節目ごとに繰り返します。

対象は新入社員に限りません。店舗や現場で働くアルバイト・パートこそsetlogの利用者が多く、顧客情報や厨房・バックヤードが映り込むリスクは正社員と同じです。管理職も、SNSの仕組みを知らなければ部下の投稿の問題に気づけません。雇用形態や役職を問わず、全員を対象にします。

社内ルールの整備

研修で伝えた内容を現場で守ってもらうには、何をしてはいけないかを社内ルールとして明文化しておく必要があります。私的なSNS利用について、定めておきたいポイントを紹介します。

アプリより使用場面を規制

「setlog禁止」のようにアプリ名を挙げて禁止すると、新しいアプリが出るたびにルールの改定が必要になります。また、私物のスマートフォンに入れるアプリまで会社が指定することは、プライバシーとの関係で慎重な判断が求められます。

現実的なのは、アプリを問わず「撮影・投稿してはいけない場面」を定めることです。

たとえば、次のようなルールが考えられます。

  • ・業務時間中および業務エリア内では、私的なSNSへの投稿を目的とした撮影を行ってはならない。
  • ・顧客、患者、取引先などの第三者や、業務上の情報が映り込むおそれのある場所では、撮影を行ってはならない。
  • ・業務に関する情報、職場の様子、同僚や顧客に関する内容を、私的なSNSに投稿してはならない。公開範囲を限定した投稿であっても同様とする。

 

最後の「公開範囲を限定した投稿であっても同様とする」は、setlogのような限定公開のアプリを対象とした一文です。

私物スマホの持ち込みルール

顧客情報や患者情報を扱う執務エリア、厨房やバックヤードなど、撮影されると困る場所では、私物スマートフォンの扱いも決めておきます。ロッカーに保管する、持ち込む場合は使用を禁止する、といったルールが考えられます。

BeRealの金融機関の事例では、私物スマートフォンの執務室への持ち込みを原則禁止としていたものの、徹底されていなかったとみられています。撮影禁止エリアを掲示で示す、管理職が日常的に声をかけるなど、現場で守られる仕組みまで整えておく必要があります。

クラッドが提供するSNS運用ガイドライン作成サービスでは、私的なSNS利用に関するルールを含め、業種や働き方に合わせた規程づくりを支援しています。

 

経営層に求められる事前の備え

社員教育やルールを整えても、流出を完全に防ぐことはできません。万が一のときに企業としての判断を誤らないよう、経営層も平時から備えておく必要があります。

炎上時の初動対応で疑似体験する

流出が起きたとき、公表や処分を最終的に判断するのは経営層です。しかし、炎上を何度も経験している経営者は多くありません。

クラッドの提供する炎上防災訓練では、社員の投稿が流出してSNS上で批判が広がる状況を疑似体験しながら、事実確認から公表までの判断を実際に行います。誰が、どの時点で、何を決めるかを事前に体験しておくことで、本番での判断の遅れや誤りを防げます。

緊急時の判断基準を決めておく

炎上が起きてから判断の進め方を話し合っていては、初動対応が遅れます。平時のうちに、次の3点を決めておきます。

 

  • 誰が判断するか:情報を集める担当者、公表や処分を決める責任者、社外への窓口
  • 何を基準にするか:個人情報の有無、拡散の規模、報道の有無など、公表や報告を決める基準
  • いつまでに判断するか:発覚から第1報を出すまでの目安の時間

 

これらの基準は口頭の取り決めで終わらせず、ソーシャルリスク対応マニュアルとして文書にしておきます。担当者が替わっても、同じ基準で動けるようになります。クラッドでは、業種や社内体制に合わせたソーシャルリスク対応マニュアルの策定を支援しています。

 

setlogの企業リスクに関するFAQ

setlogの企業リスクについて、よくある質問をまとめました。

Q1. setlogは危険なアプリですか?

アプリそのものに不正な仕組みはありません。企業にとってのリスクは、勤務中に撮った動画に顧客情報や社内資料が映り込む「情報漏洩」と、悪ふざけや揶揄による「不適切投稿」です。いずれも、仲間内の動画がXなどに転載されることで炎上につながります。

Q2. 投稿はグループ外の人にも見られますか?

setlogの中では、グループ外の人に投稿が表示されることは基本的にありません。ただし、メンバーが保存・録画した動画は、Xなどほかのアプリに転載できます。

Q3. スクリーンショットや保存は投稿者に通知されますか?

setlogでは通知されず、記録も残りません(2026年7月時点)。BeRealも通知はありませんが、投稿にスクリーンショットの回数が表示され、誰が撮ったかを確認できます。ただし、どちらも画面録画は検知されません。

Q4. 投稿した動画は時間が経つと消えますか?

消えません。BeRealの投稿は24時間で見られなくなりますが、setlogの動画は日ごとのVlogとして残り、過去の日付をさかのぼって見返したり、ダウンロードしたりできます。

Q5. 位置情報から勤務先が特定されますか?

App StoreとGoogle Playのプライバシー表示には、位置情報の収集は記載されていません(2026年9月時点)。ただし、社名のロゴや制服、看板、窓の外の景色などが映れば、勤務先は特定されます。

会社は社員のsetlog利用を禁止できますか?

私物のスマートフォンからアプリの削除を強制することは、プライバシーとの関係で慎重な判断が必要です。就業規則やSNS利用ガイドラインで、アプリを問わず「業務時間中・業務エリア内での私的な撮影や投稿」を禁止する方法が現実的です。

会社は社員のsetlogの投稿を確認・監視できますか?

setlogは招待制のため、会社が外から投稿を確認することはできません。動画がXやInstagramなどの公開SNSに転載された段階で検知する体制をつくることが現実的です。

アルバイト・パートにもSNSリテラシー教育は必要ですか?

必要です。setlogの利用者が多い10〜20代は、アルバイトとして店舗や現場に立つことも多く、顧客情報や厨房・バックヤードが映り込むリスクは正社員と変わりません。

Q9. 社員の動画が流出したら、最初に何をすべきですか?

情報の流出が発覚後は即座に、映り込んだ情報、拡散の範囲、関わった社員、撮影の時期を確認します。そのうえで、当事者への削除の指示、転載先への削除依頼、影響を受けた方への連絡、公表の判断を進めます。

まとめ

etlogは、撮影や投稿を強制されない分、BeRealよりうっかり投稿は起きにくいアプリです。一方で、投稿は消えずに残り、仲間が保存すれば外部のSNSに転載されます。そうなれば、映り込みによる情報漏洩も、悪ふざけや揶揄による不適切投稿も、企業の問題として扱われます。

企業が平時から整えておきたいのは、次の4つです。

  • 雇用形態を問わず、SNSの仕組みのリスクを伝える研修を繰り返す
  • アプリ名ではなく「撮影・投稿してはいけない場面」を社内ルールで定める
  • 公開SNSへの転載をすぐに検知できる体制をつくる
  • 初動の判断基準をマニュアルにし、訓練で疑似体験しておく

 

クラッドは、社員研修、ガイドラインやマニュアルの策定、SNSモニタリング、炎上発生時の対応まで、企業のSNSリスク対策を支援しています。「社員の私的なSNS利用が心配」「何から手をつければよいか分からない」というご担当者様は、まずは無料のリスク診断からご相談ください。

鈴木 秀哉

鈴木 秀哉

株式会社クラッド/SNSリスクコンサルタント

SNSリスクコンサルタントとして、70社以上の企業のリスク対策体制の構築に携わる。
大手企業から自治体まで幅広い業種の炎上事案に対応してきたほか、企業向け研修講師として延べ1,300名以上に指導。現在はSNSリスク管理の構築から危機発生時の対応アドバイスまでを支援。